ヒーテッドベッドの改良

3D プリンタ Rostock miniのキットを作って遊んでいますが、キットには、ヒーテッドベッドがついていませんでしたので、別途ヒーテッドベッド、耐熱ガラス円板を購入してつけたことは先にレポートした通りです。

現在、プリンターはPLA樹脂でプリントしているので、ヒーテッドベッドは50℃~70℃で運転していて、他の要因によると思われるプリント品質の問題の他には気になるところもないのですが、ぼつぼつABS樹脂でもプリントをしてみたいなということで、ヒーテッドベッドをより高温で運転できるかしらべてみました。

RAMPS1.4でヒーターを動かすと、ドライバーのMOSFETの放熱が十分になされていないので壊れてしまう可能性がありますので、試験は別に作成した温度コントローラーを使います。ヒーテッドベッドを取り付けているアクリル板フレームの耐熱が気になりますので、別途サーミスターをガラス板の上とアクリル板の上(断熱材のコルク板との間)に取り付けて、テスターで温度計測を平行して行いました。データはテスターに表示される抵抗値を目で読んでExcelに入力計算してデータのまとめをします・・・・

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ヒーテッドベッドを最高120℃の設定に温度を変化させながら運転をしました。

そうすると、ガラス板の上は、

  • 70℃の設定で60℃
  • 100℃の設定で92℃
  • 120℃の設定で、111℃

になることがわかりました。かなり温度差が出ていて驚きましたがまあこんなもの?室温にも大きな影響を受けるようで、後で室温が5℃ほど高い時にテストをすると120℃の設定で114℃になりましたので、余りシビアに考えてもしょうがない?

まあ、こちらはよいのですが、アクリル板の方は、コルク板で断熱されているので、ゆっくりと上昇を続け120℃の設定で62℃以上になってしまった(実験を途中で中止)ので、アクリル板の温度をもう少し押さえる対応が必要ということがわかりました。

そこで、アクリル板とコルク板の間にコルクシートや紙のスペーサーを入れて隙間を2.5mm程度とり、またアクリル板の中央部に25mm径の穴(手持ちのホールソーの関係)をあけてそこに50mm角のファン(これも手持ちの関係)を取り付けて強制空冷ができるようにしてみました。

アクリル板の温度を見るために、ヒーテッドベッド(径200mm)の端から40mmと68mmの位置にサーミスターをはりつけて温度の状況を調べます。

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こんな感じで、中心からファンで押し込んだ冷気でコルク板の下面に風を流して冷やします。

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ファンを回しているところです。10年以上前に使っていたPCのグラフィックボードに付いていた空冷ファンなので、ベアリングが死に掛けのような音を出していますが気にしない・・・・

再度ヒーテッドベッドを運転して温度データを取りました。

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ファンを回していなくても穴から冷気が自然に流入して冷やされないかな?と淡い期待を抱いていたのですが、ちょっと無理のようで、多少温度の上昇の速さは遅くなっているようですが、ファンを回さないと前と同様に60℃以上になってしまうようです。ファンを回すと効果抜群で、ヒーテッドベッドを120℃に設定しても、51℃(外側の測定点)、44℃(内側の測定点)で安定に維持できているようで、これで、ABS樹脂をプリントしても安心です。外側の測定点は、コルクのスペーサーが当たっているところで、空気が流れていないところなので条件としては厳しいポイントなのですが、それでも十分低温になりましたのでOKでしょう。

プリントを繰り返していく中で、紆余曲折あったファンの取り付け位置は、結局最初のような形に戻しました。ただし、キットに付いてきた取り付け部品だと、ファンの端がプリントベッドを留めているクリップなどにぶつかりそうなので、少し取り付け角度を変えた部品をプリントしてそちらに交換。

射出された樹脂は、速やかにファンで風を当てて冷却して固めないと、きれいな造形ができないようなのでこうなりました。冷却しないとノズルの先の温度ですでに固まった樹脂がまた柔らかくなってめくれあがったりしてしまうので、十分に冷却することが重要のようです。現在も、このめくれあがりの問題があってきれいにプリントができないデータがあるので、思案中。

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エクストルーダーの手前にちょこっと見えている部品は今テストをしようと考えているZ probe ですが、きちんと調整しておけば、そうそうプリンタのジオメトリが狂ったりしないようなので、要らないかも。

 

3Dプリンター Rostock Mini Pro 製作記(6)

前に、「この項終わり」って書いたんですが、往生際悪くまだやってます。

前回以降こんなことやってました。

1) フレームの強化・調整

前回実施した、2面の強化ではやはり中途半端感がイナメナイ・・・ということで、追加の材料をホームセンターに買いに走り、3面を均等にアルミフレームで強化しました。

その際、組み付けの精度をちょっと気にして組んでみました。というのは、前にキットをそのまま組み立てた時に縦に長いものをプリントしてみたところ、縦のものが少し傾いていたのです。deltaタイプのプリンタは、3軸合わせての動作なので、寸法の狂いの影響が大きく出がちと思います。アルミフレームを締めこむ前に、軸を決めている直径8mmのロッド6本がプリントベッドに対して垂直に立ち上がっているか、スコヤを当てて確認しました。一部少しですが垂直になっていないロッドがありましたので、上のアクリルプレートへの取り付けを調整して垂直になるようにしました。ほんの1mmちょっとのずれでしたが、十分に確認をしておくことが重要と思います。

それから、前は、フレームの下部のLアングルの取り付け方向がよろしくなく、プリントベッドの隅のほうをプリントするときに、ファンがフレームに干渉したりしてよろしくなかったので、Lアングルの取り付け方を変更して干渉しないように変更しました。穴をあけ直したり結構辛気臭い作業が必要でした。

2) ヒーテッドベッドをつける。

これまで、キットについてきたアクリル製のプリントベッドにマスキングテープを張り付けてプリントしていましたが、結構めんどくさいのと、ABS樹脂のプリントもボチボチ始めてみたいなということで、前から買ってあったヒーテッドベッドと耐熱ガラス製の円形プリントベッド(今見たらどっちも売り切れ…)を取り付けました。

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ヒーテッドベッドは、10mmのスペーサーを使ってアクリルのフレームに取り付けましたが、アクリルフレームには、穴が開いていませんでしたので、現物合わせで4.2mmの取り付け穴をあけました。スペーサーは4mmねじ用を使いました。また、ヒーテッドベッドの取り付け穴は4mmより小さなネジ用だったので、ドリルで拡げて取り付けました。

ヒーテッドベッドと下のアクリル板の間の断熱はみなさん苦労しているところかと思いますが、私は、100円ショップで売っているコルク製の鍋敷きを使ってみました。ヒーテッドベッド=鍋、アクリル=机と考えると、これはきっとベストマッチに違いない!ということでやってみましたが結果は良好で、上のガラス板の温度上昇もよいようですし、ヒーターを切った後の温度の冷え方もかなり小さいです。良好な結果が出ている一つの理由としては、コルクがぴったりヒーテッドベッドにくっついているので対流が起こらないことがあると思っています。

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こんな感じで、コルクも厚さ10mmなので、アクリルとベッド両方に接触していますが問題ないです。

印刷をしてみましたが、温まったガラス板は、樹脂の着きもよいし、プリント後少し力を入れてプリント物をずらせば簡単に外せるので便利。

ヒーテッドベッドは、RAMPS1.4の端子に接続しました。電源は、別に前に実験で使ったアマチュア無線機用の電源につなぎました。電圧を調整できるし、電流容量も十分にあり、電流の流れもメーターで見られるのでこれでよいという感じ。RAMPS1.4ボードのMOSFETの発熱は、それなりにあり、放熱を考えた方が良いのですが、今のところ70℃に調節するぐらいなら、一度温まった後の電流が小さいためまあいいかという程度にはなっています。MOSFETの放熱改善はABS樹脂でプリントするときの課題です。

3) ファンの取り付け方法変更

 

これまで、キットに付属してきたファンのブラケットを使って、ホットエンドの横にファンがついていましたが、余りにホットエンドの高さに近いのでいろいろなものとの干渉が怖いので、Thingiverseを眺めてファンのブラケット兼ダクトを見つけて、作ったプリンタで印刷、ファンの取り付け方を変えてみました。

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こんな感じで、ファンがホットエンドの上にダクト兼用のブラケットでとりつきました。ファンの風の向きはどっちがいいんだろう?と悩んだのですが、とりあえず印刷物の冷却が目的?と思って風が下向きになるようにつけてみました。

ところが、このファンの取り付け方法あまりよろしくないようです。

まず第一に、ダクトの中に配線やらホットエンドやらが収納されてしまうため、メンテナンス性が悪いです。

それから、第二、こちらの方が深刻なのですが、ホットエンドの冷やす必要があるところを覆う形になるため、熱が籠りやすく、長時間のプリントをしていた時に、ホットエンドの熱の影響のためか、フィラメントが途中で詰まってしまいました。2時間ほども印刷した後に詰まって止まっているのを見るとかなりショックでした。ファンの風の向きを対流に逆らわないよう上向きにしたらましかもしれませんが、いずれにせよファンが回っていない時は問題なので、ダメかな。

そもそも、ここについているファンはいったい何のためにあるのでしょう?トラブルを通じて考えた、今の私の理解は、ホットエンドの冷やすところを十分に冷やしておくため。ということなので、もう少しそれに向いた方法を考える必要がありそうです。とりあえずは、このダクトは取り外しておこうかなと思っているところ。

4) カーボンロッドの取り付け改善

6本のカーボンロッドがTRAXXASのジョイントに取り付けられていますが、キットの説明書ではネジに何かを巻き付けて差し込んで固定。みたいな超アバウトなアドバイスが書いてあって素直に真似したのですが、場所によってはプリントしているうちにロッドの取り付けが緩んだりして問題が出ました。というわけで、ロッドのジョイントとの取り付けは差し込むだけではなくて接着をしようと思いました。接着をどうやるか少し悩みましたが、元の、テープを巻き付けて差し込むやり方は、軸の芯がきちんと出るのはメリットと思いましたので、テープはそのままに、きっちり差し込んだ状態でアロンアルファを隙間にしみこませて固定する方法を採用しました。アロンアルファがあったはずと思って道具箱漁ったら案の定全部使えない状態になっていたのでダイソーに買いに走りました。

これに関しては、今のところしっかり留まっているので成功?

5) 総評

まさかキットの組み立てでこれだけ楽しめるとは思っていませんでしたが、まだまだ直すところがてんこ盛りという感じのこのプリンタ。個人的には、送料込みで5万円を切った価格で一応プリントが始められるのはOK牧場と思いますし、コアなところで問題が出るので、それを直すことでプリンタの仕組みをより深く理解できるのが逆に優れている?と思っています。が、印刷したものを楽しみたいと思ってこのキットを買うとストレスが溜まるに違いないです。まさに素人には勧められないブツと言えましょう(と、素人の私が言ってみる)。やはり初心者の人は普通にatomとか作るのがよいと思うのですが、私は天邪鬼なので。ごめんなさい。

 

3Dプリンター Rostock Mini Pro 製作記(5)

前回プリンティングできるようにはなったものの、機械の剛性がなさすぎたり、エクストルーダーとPTFEチューブの取り付けが外れてしまったりと散々な状態だったRostock mini。

今回修理と、いくつかの改良を施してみました。

 5. 修理・改良

5-1. エクストルーダーとPTFEチューブの取り付け修理。

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部品の作り直しも考えてみたのですが、単純にエポキシ接着剤でつけて修理完了。同じデータで印刷する限り、部品の弱点が消えるわけではありませんから。。。

PTFEチューブのアダプターを万力で加えて、エポキシをネジのところに塗っておき、そこにエクストルーダーの部品を上から差し込んで輪ゴムなどで動かないようにして固定しました。チューブの中にエポキシが入ってしまうと困るなと思っていたのですが、重力を使うことで解決。また、ネジ穴全体にエポキシが充填されることで、強固に固定できました。

5-2. フレームの剛性強化

この3Dプリンター、組み立てた状態では、上のアクリルフレームと下のアクリルフレームが平行に動かせるような剛性で、どうしてもホットエンドの位置がピタッと定まりにくいです。ロッドとフレームを留めているのが3Dプリンタで印刷した部品なので、どうしても直交軸が曲がりやすいです。

これを何とかしたいなということで、ちょっと格好は悪くなりますが、アルミアングル材を使ってフレームを固めてみました。

使用したのは、18mm*10mm*2mm厚のコの字アングル2m、25mm*25mm*2mm厚のL字アングル 1m分、それから、角の補強のために、75mm長幅18mmのスチール金折(L字)を使いました。これらを組み付けるのには、プリンター本体でもたくさん使われているM4*10mm長の六角穴付きボルトとナットを使いました。六角穴付きボルトは使いやすいですが、結構値段が高いです。

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フレームはこんな感じで組みました。ちょっと設計ミスもあり、組み付け方を変えたので、下の方でアングル材がちょっと余っちゃってますが気にしない・・・

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2面をこうやって固めてみました。十分に剛性が上がりましたが、やはり残りの1面も強化した方がよさそうではあります。アクリルの3角板でつながっているので、2面強化したら残りの1面も強くなるかなとか思ったのですが、やはり違いはある。

まあ、でもプリントをするのには十分とはいえそうです。

5.3 キャリッジのベアリング交換

アームを支える部品はキャリッジと呼ばれていて、リニアガイドで径8mmのロッドを滑って平行移動するようになっているのですが、そこにオリジナルのRostock miniで使われているのは、30mmの長さのLM8UUというベアリングです。このベアリングの長さが短いためか、キャリッジをねじるような力をかけると結構ガタがあり、ホットエンドの先がそのガタのために動いてしまいます。

キャリッジはベルト駆動なのですがベルトがキャリッジを動かすポイントがキャリッジの中心でなくて少し偏った位置になっています。そのこともあり、結構ベアリングのガタが影響しやすいです。LM8UUの説明書をWebで見ると「モーメント負荷は避け、各ブッシュの取り付け距離は大きくとるように」との注がありますが、今の使い方はそれに真っ向から対決するような使い方ですので良くないと思いました。

というわけで、少しでも注の精神に従おうということで、LM8UU(長さ30mm)をLM8LUU(長さ45mm)に交換してみました。長いのでガタが減ることが期待できます。実際キャリッジの部品は同じままで、LM8LUUに交換してみるとガタがほとんど無視できるまでになりました。OK! ベアリングの重さが倍になるので、駆動に問題が出ないかという不安もありますが、今のところ大丈夫そうです。

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これが取り替えたベアリングLM8LUU

 

というわけで、再びプリントにいそしんでみましたが、改良したあとも、プリントの失敗自体はいろいろとしていて、

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これは、望遠鏡の接眼部につける部品をプリントしてみたものですが、最初の3層程度がきれいにプリントできず、ずれてしまっています。最初のクリアランスの設定がおかしいのか、ベッドの調整がいまいちで傾いてしまっているのか(こちらに倣って、ダイアルゲージをつけて調整をしてみたのですが、そのあとホットエンドに取り替えた時にずれちゃったかも。やはり辛気臭くても、紙を使ってクリアランスをチェックする方法が一番確実?)、はたまた温度が不適切?・・・

途中からはきれいにできているので、剛性強化などの効果は出ているようです。

ともかく、しばらくは、プリントの設定をいじりつついろいろと試行錯誤してみようと思いますので、これでこのキットの製作としてはひと段落としたいと思います。

この項終わり。

 

 

3Dプリンター Rostock Mini Pro 製作記(4)

3Dプリンター一応動きました。校正やら初期設定やらを今回は書きたいと思いますが、ここまで来るのに予定より少し時間がかかってしまいました。
というのも、別に使っているCNCルーターの動きがちょっとおかしくなってしまっていて、困っているところです。

CNCルーターで切削をしていたら、突然Z軸が上方向に動くべきところを下方向にしか動かなくなったり、途中でエラー停止(?)したりしてしまうようになったのです。
Z軸が下にしか動かなくなると、何が起こるかと言えば、カッターはターゲット(基板)にめり込んでカッターは折れるし、基板は巨大な穴が開いておしゃかになるし、散々です。問題が起こった後しばらくはおかしいままなのですが、知らないうちに治ったりするのでたちが悪くて、治ったと勘違いしてやり直してまたトラブルが再発してカッターや基板をたくさんお釈迦にしてしまいました。トラブルの原因がCNCのモーターや中華なモータードライバーにはないところまでは確認しているのですが、USB-CNCコントローラーがおかしいのか、それともPCがおかしいのか、はたまたUSBケーブルがおかしいのか?ということまではわかっておらず、今のところ、作業もできず悶々としているところです。

ということで、CNCルーター改造の3Dプリンターはしばらくお預けで、中華なRostock miniキットの完成を先に目指すことにしました。

3. フィラメントスプールホルダの作成

キットにはフィラメントはついてきませんので、フィラメントを別に購入しました。とりあえず、白色のPLA樹脂を1本と水色のABS樹脂を1本購入しておきました。また、フィラメントを巻き出すためのスプールホルダもキットにはついていませんので、適当に手元の端材で作成しました。

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これが作成したスプールホルダで、手持ちの1×4やらシナ合板で台を作っただけです。スプールには直径35mmの孔が開いていますので、ダイソーで売っている直径30mm長さ90mmの木の丸棒がぴったりです。

 

反対側から見るとこんな感じ。MDF合板(ダイソーの)で押さえをしています。取り替えるときはこちらの押さえを外して差し替えるだけです。

プリンターと合わせた様子は下の通りですが、結構スムーズに滑りますのでOKかなと思います。

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4.調整、テストプリント

いよいよ、調整とテストプリントをやります。

4-1. 水平調整

まず、XYZ軸の水平調整、寸法調整なのですが、プリントベッドとして、キットには丸いアクリル板がついてきましたので、これをフレームに置いて固定します。

固定には、3Mの343マスキングテープ 60mm幅をプリントベッドに張りますが、ついでに余ったテープを切らずにフレームに張り付け固定、という横着な方法をとりました。こんないい加減な方法でいいのかなと思いますが結果からいえば全く問題なし。

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この状態で、キャリッジに取り付けられている3本のネジを回して水平を調整するのですが、下記のような順序でやりました。

1. Repetier-Hostからホーミング指示をだすと、ネジがスイッチに触れることで原点が出る。

2. X,Y=0の状態でZ軸を下げ、ノズルがぎりぎりプリントベッドに触れない高さを出します。高さを出すのには、紙を使いました。紙の厚さ0.11mmで、紙が摩擦する高さまで下ろし、その高さをぎりぎりの高さとしました。最初にやった時、2.2mm (Rostock Mini Pro のマニュアルに書かれた手順で値を設定するとこのあたりの値となる)となりました。

3. いったん10mm Zを上にあげ、X,Y,Zモーターの近くにもっていき、Z軸を下げてぎりぎりノズルが触れない高さを同様に出します。最初の調整では、Xモーターの近くでは2.1mm Yモーターの近くでも2.1mm Zモーターの近くでは、2.3mmが出ました。この時、私のRostock miniでは、各モーターの近くで値を出してまたX,Y=0に戻して同様に高さを出すと最初の2.2mm から外れた小さな値(=1.8mm など)になってしまいます。これを繰り返すとX,Y=0での高さがだんだん小さくなっていき、元の2.2mmには戻りません。このことは再現性もあるようなので、機械の遊びが原因のようです。仕方がないので、毎回ホーミングした後にX,Y,Zモーター近くに移動させることで、モーター近くのポイントでのずれを調べてみました。

各軸でのずれがわかったらそれを修正する方向に3本のネジを回します。ネジは3mm のネジなので、ピッチは0.5mmゆえ、0.1mmの修正をするには0.1/0.5=0.2回転させます。今回Zモーターの軸だけを修正することにして、ネジを回したところ、各軸での中央(X,Y=0)からのずれは-0.1mmとなったので、これで良しとしました。

さて、3Dプリンターのソフトでは、ノズルがプリントベッドに触れる高さをZ=0とするようなので、測定した値(今回の場合2.2mm)の分、Arduino firmwareのプログラムRepetier.ino のConfiguration.hの

#define Z_MAX_LENGTH を、初期値-測定した高さ に設定することで修正し、Arduino Mega 2560に書き込みました。

また、Repetier-hostのprinter settings -> Printer Shape -> Printable height も同じ値に設定しました。

念のため、もう一度ノズルをプリントベッドぎりぎりに動かしてZ=0を確かめておきます。

4-2. Extruderの校正

Extruder に10mmExtrudeの指示を出したときに10mm出てくるかRepetier-host のmanual controlで動かすことによって確かめました。

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上は、10mm Extrude したときに実際には11.83mm出ていることを示します。今回は、flowrate をこの分やノズルの径の違いの影響を勘案して調整することで対応することにします。ノズルの径にエラーがなければ、85%程度のレートで出せばよいということになります。

4-3. テストプリント

テストプリントとして、Thingiverseのキャリブレーション用20mm角キューブをプリントしてみることにします。

stlファイルをダウンロードし、slic3rでg-codeを作成してプリントします。設定はインストールしたままのものを使ってみました。プリント速度30mm/sec 層厚0.4mm、ホットエンド温度200℃の設定です。

実際には、溶けたフィラメントがノズルの先から出てくるのに非常に苦労しました。どうもBowden extruderのPTFEチューブとホットエンドの軸が少しずれていたようで、ホットエンドにPLAフィラメントがすっと入っていかず引っかかっちゃったりして調整に苦労しました。引っかかった場合には、エクストルーダーのギアが滑りますのでそうならないようにホットエンドマウントのネジを緩めたりして調整しました。

さて、最初のプリントですが、大失敗でした。

プリントしている途中で、フィラメントのExtrudeする速度が大きすぎたようでエクストルーダーのギアが滑るのはいいのですが、PTFEチューブをエクストルーダーに留めている部品のネジがバカになっていたこともあり、外れてしまい、さしなおしてもすぐ抜けるようになってしまいました。慌ててPTFEチューブを差し直して、また抜けてしまうので、かなり焦り、結局は、最初のテストプリント中ずっと手でPTFEチューブをエクストルーダーに手で挿して押さえているという力技で切り抜けました。が、プリンターの剛性も弱いため、プリント結果がガタガタ(下の図)。

まさに、「なんじゃこりゃあー!」と松田優作が出てきそうな感じです。

そもそも、エクストルーダーの部品からPTFEチューブが外れた時点でアウトなのですが、それでもこの程度出たので良かった?

替えの部品は当然持っていませんので、PTFEチューブを針金で無理やりエクストルーダーの部品に固定しました。

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こんな感じで。

もう一度同じ20mm角キューブをプリントしなおします。

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今度はだいぶましそう。

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左が手で押さえながらなんとかプリントした最初のもの。右が修理後のもの。かなりマシになりました。プリントが終わった後なぜかノズルがその場所に居たままになったため型がついてしまった・・・G-codeの設定を変えないといけません。

20mmのプリントしたキューブの寸法をノギスで測ってみました。

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お。思ったより精度いい。

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厚み方向もそれなり。

これをみて結構元気がでて、壊れたエクストルーダーの部品をプリントしてみることにしました。

slic3rの設定がよくわからなかったのでとりあえずサポートを付加せずプリントしてみます。

サポートなしだとどうなるか興味もあってサポートを付加しないで作ってみましたが、やっぱりサポートは必要そう。サポートがないとその間のフィラメントが乗っかるところがないので、実質プリントアウトされない部分ができてしまいます。

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また、温度管理は重要で、プリント途中換気のため部屋のドアを開けたら、温度が急変したせいか、少し段が(真ん中より下)できてしまいました。

それと、Extruderの押し出し速度は、85%に最初設定してみましたが、速すぎるようで、私のRostock miniでは75%程度がエクストルーダーのギアも滑らずいい感じでした。ということは、ノズルが0.4mmより細めなのかな・・・

まあ、最初の数回としては合格点かな。

一通り動くようにはなりましたので、これから、マシン剛性の改善、ABS樹脂のプリントに必要な、ヒーテッドベッドの取り付けと配線等をやっていきたいと思っています。

 

 

 

3Dプリンター Rostock Mini Pro 製作記(3)

2. 組み立ての続きです。

ホットエンド周りを組み立てます。

Bowden エクストルーダーからのPTFEチューブは手持ちのM5ナットで固定しました(キットに入っていなかったような気が。。。)

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ホットエンド(J-head MKIV hotend)は、ホルダーがホットエンドの溝に横からしっくりハマります。

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2つのホルダーを重ねて、central platform にM4のネジとナット、それからワッシャーで留めました。

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上から見た様子。配線はキット付属のスパイラルチューブでまとめます(ファンの配線をまとめるのを忘れていたので後でやり直した)

 

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下から見た様子がこれです。ファンはM3-16ねじでファンマウントに固定できます。ファンマウントのcentral platform への固定はM4ねじでやりましたが、例によってタップを切ることが必要でした。

ちゃんとファンが固定できれば、J-type hotend のノズルのわずか上にファンの一番下が来て、ファンがプリントベッドにあたらないようになっているようです。

 

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最後は全体の配線引き回しをしました。

このキットは、エクストルーダーを3軸のステッピングモーターの近くに置く前提になっているようなのですが、central platformに余計な力がかかるとプリントの結果がずれる原因になるようなので、配線もPTFEチューブも上から素直に下ろすようなアレンジにしてみました。そのため、エクストルーダーのステッピングモーターは上の面に乗せています(タイラップ止め)。

配線の長さがいろいろと足りない(ファン、ホットエンドヒーター、サーミスター、エクストルーダーモーター、エンドストップスイッチのいくつか)ので、AWG24あたりの線を使って延長をしました。

ほとんどの配線は上の面でまとめて下に置いてあるコントローラーまでつなぎますので、手持ちのスパイラルチューブ(黒)を使ってまとめました。

 

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RAMPSボードに配線をしますが、これもマニュアルに記載が全くないことの一つですが、Reprap wikiには書いてあるので問題ないでしょう。

今回、ラップトップ用の12V 10A電源を使用しているので、RAMPS1.4ボードの電源は、ArduinoのDCジャックからマニュアルに指示のあるように引き回した配線を通って供給されます。モーターの結線は、モーターは4本の配線のうち2本づつがペアなので、テスターなどでペアを見つけます。RAMPSボードにはそのペアペアがならんでつながっていたらそれでOKのようです。キットに付属のモーターは、3軸のはどれも同じ色の組み合わせでOKなのですが、エクストルーダー用のモーターは色が違っていて、またペアの色の組み合わせも異なっていたので要注意です。

モーター4式(X,Y,Z,E0)の配線をします。

エンドストップ3式(X_MAX, Y_MAX, Z_MAX)は左からコネクターがX_MIN,X_MAX, Y_MIN,Y_MAX, Z_MIN,Z_MAXとなっているので場所を間違えないように、また、Sと記載されたピンと-と記載されたピンにスイッチがつながるように気をつけます。

サーミスターはT0につなぎます。

ホットエンドのヒーターはD10につなぎます。また、ファンは、D9につなぎますが、極性があるので気をつけます(ボード上の+サインに赤線をつなぐ)。

以上で一応配線終わり。こちらのソフトウェア設定マニュアルに従って、ArduinoMega2560のファームウェアをアップロードし、Repetier-host ソフトをPCにインストールしてUSBでPCにつなげばテストができます。

私のところでは、ホットエンドのノズルとプリントベッドの間の距離は最大185mmでした。

その他の校正の手順もソフトウェア設定マニュアルに従えば特に注意する点もないと思います。

ヒーターの温度調整ができることを確かめ、ファンを動かしたり、XYZの動きを確かめたりしてみましたが、特に問題はありませんでした。

一通り、動かしてみた感想。

まだプリントをしていない現段階ですが、これじゃあ精度の高いプリントは難しそうで、フレームその他の剛性を高めたいなあという印象が強いです。ちょっと遊びでプリントしてみた後は、フレーム剛性の強化、キャリッジのリニアベアリング周りの改良をしたいな、と計画しているところです。

次回は、実際にプリントをしてどんなひどい結果が得られたかが書けるといいなと思っています。まだフィラメントのテストは全くやっていません。スプールのホルダーを木で作ろうと思ってまだやっていないので、まだ実際にプリントするところまでは行っていないのです。

続く。