反射望遠鏡の鏡面研磨 遅々として進んでません。フーコーテスター作ったり、どちらかというと、鏡面測定マニアと化してきています。少し前に、youtube を見ていたら、アマチュアの天体望遠鏡作りをしている人たちのなかで、磨いている鏡面の評価を「干渉計」でやっている人たちがいることに気が付いて、鏡面測定マニアとして、私も同じことやってみたいと思ってしまい、泥沼に輪をかけることになってしまいました。
構想だけはずいぶん前から温めていたのですが、やる時間が取れず、GWで少しだけ余裕があるので、思い切って干渉計を作りました。
製作したのは、Bath interferometer という、基準鏡面の要らないタイプの干渉計です。マイケルソン干渉計などは、基準鏡面からの反射光と検査鏡面からの反射光を干渉させるので、基準面が必要になりますが、これ(Bath)は、レーザー光を、鏡面全体に同位相の光を当てるパスと、鏡面のどこか1点に光を当てるパスに分け、それぞれの鏡面からの反射光を干渉させるという方法で、基準面を要らなくしています。アマチュアにぴったり、の方法ですね。
参考にしたのは、こちらのpdfとか、こちらの検索で出てくるページとか、どれも素晴らしいですが、自分なりに咀嚼して、干渉計の図面を書いて、部品を3Dプリンタ、フライスなども使いながら加工して組み立てました。
材料と作り方。
秋月レーザーモジュール(500円) 3V電池ボックス、スイッチなど:レーザー光源です。光の向きを1.5°程度の範囲で調節できるような台座を3Dプリンタで製作して搭載。
無偏光ビームスプリッター(10mm角), 表面平面鏡 (13mm角), 焦点距離15mm 直径10mm レンズ:いわゆる干渉光学系です。ビームスプリッターは、小さいものの方がよく、なるべく隅っこを使うようにするのがよいとのこと。レンズは、レーザー光で鏡面全体を照射するために使いますが、15cm F8などでは、もっと長い焦点距離のレンズを使ってもよさそう。Fが小さかったり、鏡面が大きい場合には、レーザー光を大きく広げる必要があるので、焦点距離の短いレンズを使う必要があります。レンズの直径は、反射光と被らないようにできるだけ小さなレンズの方がよいです。6mmとかが使えたらその方がよさそう。
ビームスプリッター(BS)などの光学部品はSurplus shed で買うのが安いようですが、ちょうど売り切れのタイミングだったので、仕方なくBSはebayで見つけて買いました。レンズと平面鏡はSurplus shed で買いました。
ビームスプリッターは、方位角を調節できるようにする必要があるとのことで、Ed Jonesさんのビデオを真似して、秋月の10mm角ブロックに光硬化接着剤(Amazonとかで買えます)を使って接着。3mmねじを軸受にしました。ミラーは、方位角、伏角両方調節できる必要があるとのことで、ミラーマウントを設計して、3Dプリンタで製作し、両面テープでミラーを張り付けました。結構いいものができました。
レンズは、最初に光軸調整をするのに、レンズが外せると便利だなと思ったので、LアングルにレンズマウントをCNCフライスで作り、レンズをはめ込みBSと同じく接着剤で固定しましたが、Ed Jonesさんのビデオにあるように、最初からBSに張り付けても問題ないかも。とはいえ、一度張り付けたらやり直しがきかないので、私には無理、と思いました。
カメラ:これは先日Cマウント化した、Webカメラを光軸が合うように台座に取り付けました。それなりに望遠のレンズをつけて使う必要がありそうなので、Webカメラそのままでは難しそうです。スマホ望遠とかでも行けるような気がしますが試していません。
移動テーブル:これはフーコーテスター用のをX,Y軸に使い、Z軸のは安い中国製のを買いました。反射光をうまく干渉ポイントに導く必要があるので、それなりに微調できる必要はありそうですが、とりあえず手でも干渉させることはできたので、あまりナーバスになる必要はないかも。
テスト。
そんなこんなで、出来上がり、テスト風景がこれ(XYテーブルにはまだ搭載させていません)。
缶の上にカメラと干渉計・光源のユニットを置いて磨き中の鏡を使ってテストしました。
干渉計の調整は、まず、レーザー光がまっすぐBSの狙ったところに入るようレーザーモジュールのマウントを調節し、そのあと、BSと平面鏡の向きを調節して、2つの平行なレーザー光が出射できるように調節しました。そして、レンズを挿入、ターゲットの鏡の中心に平面鏡で反射した方のレーザー光を当てつつ、鏡面で反射した光が再びBSに戻って干渉するように鏡の向きとユニットの位置(おおよそ反射鏡の球芯がBSの近くにくるようにする)を調整して、干渉光をカメラで確認しました。
このあたりは、Ed Jonesさんのビデオを見たときは意味がよくわかっていなかったのですが、自分でやってみたら簡単でした。
どうもBSとか鏡とか、レンズが汚れていて、散乱光が酷く、偽の干渉縞もいっぱいできているので、きれいにクリーニングすることが必要そうですが、一応磨き中の鏡の干渉縞模様を見ることができました。
左下の方に見えているのが、15cm F8の鏡です。あからさまに面があまりきれいでないのですが、これが鏡面のでこぼこなのか、干渉計の問題なのかを調べるところまでは行っていません。まず、散乱光などでかなり画像が汚いので、もう少しましにしたいところ。
でも、あからさまに鏡面の端っこがだれているのが干渉縞の様子からもわかりますので、おっ!と思いました。
干渉縞のビデオはこちら。畳の上でテストしているので、振動の影響が激しいです。。。
娘は、5/7の模試に向けて一生懸命算数をやっていますが、私は、仕事をせずに干渉計で一日遊んでしまいました。夜は、仕事をやらなきゃね。。。
5/5 追加
調整をしてかなりましな画像が得られるようになりました。結構調整難しい。