鏡面研磨 セリウム磨き 整形

鏡面研磨は、ピッチ盤ができてからそのピッチ盤が利用できる期間はそんなに長くありませんので、できるだけ、毎日研磨に取り組むのが良いです。

というわけで、今日もお休みを利用して研磨に取り組みました。

まず、ピッチ盤は水に浸して保管していますが、磨き始める前に、上のように鏡と型合わせをしました。気温も比較的高いので、10kgで5分も合わせれば十分かなと思います。

セリウムを溶いた液を足して磨き開始。少し磨いては、干渉計で鏡の誤差を計測、その内容を見て磨き方を少し変えて少しまた磨き、また干渉計で検査、というのを繰り返しました。

そんなに連続的にやっているわけではなく、磨いている時間はどんなに長くても5分、大体1分程度で、とにかくまめに様子を見るようにしました。

途中からは、検査結果で山になっているところを減らすつもりで、オーバーハングを外周から5mm~25mm程度の範囲にかけながら磨いたところ、鏡面の誤差が減少していきました。

今日の磨き始めが赤い線の鏡面誤差でPVで0.7波長程度あったのが、少しマシ(黒線)になりました(0.5波長ぐらい?)。個人的にはこれでもかなりの進歩。と思っています。

表面の凸凹の解析結果はこんな感じで、中心に穴がある感じ。

明日も時間が取れたら、鏡面の改善に取り組みたいなーと思っているところ。

(8/14 補記)

波面誤差(wavefront error)のグラフの極性がよくわかりませんでしたので、openfringeのZernike(ゼルニケ)多項式 近似の誤差項を全部0にしたもの(つまり完全な球面鏡)の波面誤差を計算してみました。

すると、上のようになりました。この波面誤差は、放物線鏡ですと誤差0になりますので、球面鏡の誤差が上のようになるということは、プラスに誤差が出ているところが「山」、マイナスに誤差が出ているところが「谷」ということになります。球面鏡の場合でも誤差はPeak-to-Valleyで1/4波長程度ということなので、私の鏡(ひどい双曲面)はまだまだ、ということになります。

鏡面研磨 セリウム磨き

ようやくピッチ盤ができ、セリウム磨きをしました。

鏡のサイズでピッチ盤を切り取ったところ。合わせが不十分なところがあるなあ。。。まいっか。

磨き中の様子。溝は磨き方向45度(つまりななめ)になるようにします。

磨いたら、鏡面検査を干渉計で行いました。上は干渉計(左)と鏡台(右)。

セットに一苦労しますが、あらかじめ、レーザー距離計で球芯距離を測っておき大体干渉計と鏡の距離を合わせておくと楽ちん。

得られた干渉計記録はこんな感じで、openfringeで画像処理をして、波面誤差を出します。

出した結果が、こんな感じですが、当然NG。いろいろと磨いてみましたが面があまり改善しません。考察が必要。。。

干渉計は波面誤差が数字で出てくるのはよいのですが、磨きの面を調節するには、むしろフーコーテスターで見た鏡面の方が鏡面修正の方法が直感的にわかりやすくてよい感じです。うまく併用できたらいいんですが。

鏡面研磨 鏡の型どり

ピッチピースを作成しましたら、次は、盤ガラスに作成したピッチピースを貼りつけて、鏡と曲率のあったピッチ盤を作成する作業です。

あらかじめ盤ガラスにどのようにピッチピースを配置するか作図したものを作っておきました。溝は4mm幅で、盤の中心に対して少しピースをずらすように配置します。

盤ガラスについていた、前のピッチはあらかじめ除去しておきます。盤ガラスを冷凍庫で冷やしておくと、お好み焼きのコテで鉄板を掃除するのと同じ要領で簡単にピッチは除去できます。取り除いたピッチをそのままにしておくと常温になって柔らかくなったピッチは厄介なので、早めに袋に入れて回収します。

盤ガラスにピッチを乗せても簡単には付きませんので、シンナーで溶かしたピッチを塗っておきます。これをピッチの接着剤にします。

ピッチを薄めた液を盤ガラスに塗ると、すぐにガラスの片側に液が移動してしまいました。机が傾いているためですね。

下に敷いた作図を見ながらピッチピースを配置しました。ピッチピースの厚みが均等でないので後で苦労しそうですが、この夏一番の暑さで作業場所が冷房を効かせても結構暑いので、今のことだけ考えて、とにかく並べました。

ピッチ盤で研磨を行うためには、鏡との面合わせ・型合わせが必要です。クッキングシートをピッチ盤と鏡の間に挟んで、鏡の上に10kgの錘を乗せて、型合わせをしました。

鏡と面が合ったら、クッキングシートにくっきりとピッチピースが見えるようになるので、そうなったら、面合わせ終了で、周囲にはみ出したピッチを切り取って除去したら、セリウム液を入れて研磨開始できます。。。が、やっぱりピッチピースの厚みが不均等だったことが災いして、結構な時間合わせていますが、まだ面合わせできていません。ひょっとしたら少し鏡の温度を上げて面合わせを加速してやらないといけないかも。とりあえず明日の朝までこの状態で面合わせしておこうと思います。

鏡面研磨 ピッチピースを作る

長らく、乙女高原観望会での鏡面研磨やっているんですが、最近は、娘の受験塾のこともあり、あまり行くチャンスがなくて、お休み状態に近いものがあります。

この夏休みも、7月の乙女高原観望会は参加(でも雨!)できましたが、8月は、出張予定とかぶっていてだめでした。

娘の塾のサポートを母親と交代でやる関係で夏休みを今週まとめてとっているので、「家で」鏡面研磨をこの際進めようと思いました(できるかな。。。?)

まず、家の環境は、鏡面研磨(ピッチ研磨)をやるにはちょっと温度が高めで、乙女高原の環境で作ったピッチ盤はNGです。

そこで、ピッチ研磨用のピースを家用に作ります。今日のためにあらかじめ道具をいくつかそろえておいたのと、事前作業をいくつかしておきました。

・ピッチ は、Gugolz #64 の光学研磨用ピッチを1kg購入しました。これは柔らかい仕様なので、松脂で固く調合する必要があります。

・松脂も1kg調達しておきました。どちらもamazonで。

・ピッチを調合するには、溶かさないといけませんが、そのため、蓋つき鍋をdaiso で、それから、いろいろと調理用具もdaisoで調達。

・溶かすために、ガスコンロではアレなので、電気コンロを買いました。ピッチ溶かし専用になっちゃうと思います。あ、でも他に美術工作とかいろいろ使い道はあるかもしれませんが。

大事なのが、ピッチピースの型をつくることです。ピッチピースの型は、今回ピースを3Dプリンターで造形(厚さ3mm 20x20mmの板を44枚)して、それを、ガラス板に並べ、離型剤を塗って、ガラス板の周りに油粘土で土手を作ったうえで、シリコーンゴムを流し込み、型を作りました(下のような感じ)。シリコーンゴムを混ぜるのに結構苦労して、3回に分けて流し込んだら少し表面がでこぼこになっちゃったので、一気に流し込めるように準備した方が良かった。

型が用意できたら、ピッチと松脂を調合します。今回、25℃~28℃の環境で研磨することを念頭に、重量比でピッチ4 松脂6の割合で調合しました。ピッチ(#64)を190g と松脂285gを秤り、鍋で溶かしました。ピッチはなかなか厄介な代物で、はじめ容器から取り出す方法がわからず、写真のように包装を剥いて、割って取り出しましたが、いい方法があるのかもしれない。でも、この写真のまま放置していたら、じわじわピッチが流れ始めた(?)ので、慌てて紙を巻いて流れちゃわないようにした(つもり)。

ピッチは、熱伝導性が悪く、しかも、粘性も高いので、溶かすのが結構大変です。

鍋に接したところが溶けてきたら、割りばしで攪拌して、できるだけ早くまだ溶けていないところに熱が伝わるようにしてみました。溶けた状態と粘った状態ではかなり粘性が違います。

均一に溶かしたところで、一度、コンロをOFFにして、冷まして、針入度(固さみたいなもの)の測定をしました。1mm の針に200gの錘をつけて、1分間冷えたピッチに置いたところ、0.5-1mm弱凹みましたので、針入度は5-10程度、一応問題ない?固さに調合できたことにします。

上記は、星野次郎さんの「反射望遠鏡の作り方」の記述に従ったものです。

JIS K2207の針入度の定義を見ると規定の針が試料中に垂直に進入した長さの0.1mmを 1 として表す。とあります。荷重は100gでテストの時間は5秒とのこと。針の形状がJIS便覧にあるはずなのですが、手元にJISの便覧にないので不明です。

また、木辺さんの「反射望遠鏡の作り方」を見たのですが、それでは、針入度に対応させた記述はなく、爪の型がつくのがよい、とか、少し曲がって折れるのがよい、という程度の記述。

また、星野さんの本によると、松脂を8割も入れてしまうと、ピッチが割れやすくなってNGなので、そのような温度下では作業ができないともあります。つまり夏の研磨は空調が効いた部屋でやらないとNGということでしょう。

次に、もう一度コンロにかけて完全に溶かし、今度は型どりをしました。

一応はみ出しても受けられるようにダイソーのステンレスバットの上に型を置いて、ここに溶けたピッチを流し込みました。

流し込みは何度かやったけど、いい道具がないと結構難しく、次回からは注入用のじょうろ状の金具を鍋に取り付けたい感じ。温度が下がるとすぐに流れなくなっちゃうし、温度が高い段階ではめちゃくちゃ流れやすいので、イライラします。

型を溢れたピッチは、クッキングシートを乗せて、板でセメントを均すのと同じ要領で均して型の厚みに近い厚さに仕上げようとしました。

実は、これは2回目で、1回目は、クッキングシートを挟まずいきなりアルミ板を乗せて圧迫したら、ピッチは全部アルミ板にくっついてしまうし、あふれたピッチが型の上に残っちゃっていて、全然だめでした。全部やり直しでした。

その反省に基づいて、2回目はまあまあの出来、失敗したときのために2回目と合わせて2回分のピッチピース(88枚)を作成しました。

型からはみ出たピッチが残っていますが、毛抜きなどでピッチピースから取り除くとよいと思います。

そんな感じで、明日は、盤にこのピッチピースを貼りつけ、鏡で型どりして研磨まで行きたいと思います。

 

 

干渉計による鏡面測定

反射望遠鏡の鏡面研磨 遅々として進んでません。フーコーテスター作ったり、どちらかというと、鏡面測定マニアと化してきています。少し前に、youtube を見ていたら、アマチュアの天体望遠鏡作りをしている人たちのなかで、磨いている鏡面の評価を「干渉計」でやっている人たちがいることに気が付いて、鏡面測定マニアとして、私も同じことやってみたいと思ってしまい、泥沼に輪をかけることになってしまいました。

構想だけはずいぶん前から温めていたのですが、やる時間が取れず、GWで少しだけ余裕があるので、思い切って干渉計を作りました。

製作したのは、Bath interferometer という、基準鏡面の要らないタイプの干渉計です。マイケルソン干渉計などは、基準鏡面からの反射光と検査鏡面からの反射光を干渉させるので、基準面が必要になりますが、これ(Bath)は、レーザー光を、鏡面全体に同位相の光を当てるパスと、鏡面のどこか1点に光を当てるパスに分け、それぞれの鏡面からの反射光を干渉させるという方法で、基準面を要らなくしています。アマチュアにぴったり、の方法ですね。

参考にしたのは、こちらのpdfとか、こちらの検索で出てくるページとか、どれも素晴らしいですが、自分なりに咀嚼して、干渉計の図面を書いて、部品を3Dプリンタ、フライスなども使いながら加工して組み立てました。

材料と作り方。

秋月レーザーモジュール(500円) 3V電池ボックス、スイッチなど:レーザー光源です。光の向きを1.5°程度の範囲で調節できるような台座を3Dプリンタで製作して搭載。

無偏光ビームスプリッター(10mm角), 表面平面鏡 (13mm角), 焦点距離15mm 直径10mm レンズ:いわゆる干渉光学系です。ビームスプリッターは、小さいものの方がよく、なるべく隅っこを使うようにするのがよいとのこと。レンズは、レーザー光で鏡面全体を照射するために使いますが、15cm F8などでは、もっと長い焦点距離のレンズを使ってもよさそう。Fが小さかったり、鏡面が大きい場合には、レーザー光を大きく広げる必要があるので、焦点距離の短いレンズを使う必要があります。レンズの直径は、反射光と被らないようにできるだけ小さなレンズの方がよいです。6mmとかが使えたらその方がよさそう。

ビームスプリッター(BS)などの光学部品はSurplus shed で買うのが安いようですが、ちょうど売り切れのタイミングだったので、仕方なくBSはebayで見つけて買いました。レンズと平面鏡はSurplus shed で買いました。

ビームスプリッターは、方位角を調節できるようにする必要があるとのことで、Ed Jonesさんのビデオを真似して、秋月の10mm角ブロックに光硬化接着剤(Amazonとかで買えます)を使って接着。3mmねじを軸受にしました。ミラーは、方位角、伏角両方調節できる必要があるとのことで、ミラーマウントを設計して、3Dプリンタで製作し、両面テープでミラーを張り付けました。結構いいものができました。

レンズは、最初に光軸調整をするのに、レンズが外せると便利だなと思ったので、LアングルにレンズマウントをCNCフライスで作り、レンズをはめ込みBSと同じく接着剤で固定しましたが、Ed Jonesさんのビデオにあるように、最初からBSに張り付けても問題ないかも。とはいえ、一度張り付けたらやり直しがきかないので、私には無理、と思いました。

カメラ:これは先日Cマウント化した、Webカメラを光軸が合うように台座に取り付けました。それなりに望遠のレンズをつけて使う必要がありそうなので、Webカメラそのままでは難しそうです。スマホ望遠とかでも行けるような気がしますが試していません。

移動テーブル:これはフーコーテスター用のをX,Y軸に使い、Z軸のは安い中国製のを買いました。反射光をうまく干渉ポイントに導く必要があるので、それなりに微調できる必要はありそうですが、とりあえず手でも干渉させることはできたので、あまりナーバスになる必要はないかも。

テスト。

そんなこんなで、出来上がり、テスト風景がこれ(XYテーブルにはまだ搭載させていません)。

缶の上にカメラと干渉計・光源のユニットを置いて磨き中の鏡を使ってテストしました。

干渉計の調整は、まず、レーザー光がまっすぐBSの狙ったところに入るようレーザーモジュールのマウントを調節し、そのあと、BSと平面鏡の向きを調節して、2つの平行なレーザー光が出射できるように調節しました。そして、レンズを挿入、ターゲットの鏡の中心に平面鏡で反射した方のレーザー光を当てつつ、鏡面で反射した光が再びBSに戻って干渉するように鏡の向きとユニットの位置(おおよそ反射鏡の球芯がBSの近くにくるようにする)を調整して、干渉光をカメラで確認しました。

このあたりは、Ed Jonesさんのビデオを見たときは意味がよくわかっていなかったのですが、自分でやってみたら簡単でした。

どうもBSとか鏡とか、レンズが汚れていて、散乱光が酷く、偽の干渉縞もいっぱいできているので、きれいにクリーニングすることが必要そうですが、一応磨き中の鏡の干渉縞模様を見ることができました。

左下の方に見えているのが、15cm F8の鏡です。あからさまに面があまりきれいでないのですが、これが鏡面のでこぼこなのか、干渉計の問題なのかを調べるところまでは行っていません。まず、散乱光などでかなり画像が汚いので、もう少しましにしたいところ。

でも、あからさまに鏡面の端っこがだれているのが干渉縞の様子からもわかりますので、おっ!と思いました。

干渉縞のビデオはこちら。畳の上でテストしているので、振動の影響が激しいです。。。

娘は、5/7の模試に向けて一生懸命算数をやっていますが、私は、仕事をせずに干渉計で一日遊んでしまいました。夜は、仕事をやらなきゃね。。。

5/5 追加

調整をしてかなりましな画像が得られるようになりました。結構調整難しい。