3Dプリンタ ホットエンドのトラブル

私の使っている3Dプリンタは、中華の激安デルタ型プリンターのキット(Rostock mini pro)を組み立て、自分で改良を施してなんとか印刷できるようになっているものですが、やはり元の出身が中華激安なので、いろいろと問題も出てきます。

トラブルの一つに、ホットエンドから樹脂が射出されなくて詰まってしまうというものがあります。

私のプリンタのホットエンドは「J-head」というものですが、中華なので(?)オリジナルのJ-headではなく、コピー(というか、類似品というか・・・)です。そのためか、ホットエンドの構造と作りに問題があり、樹脂が詰まりやすいです。

今回、とうとう何をプリントしようとしてもすぐ詰まってしまうようになったので、意を決して修理しようと、ホットエンドをばらしてみました。

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写真は、トラぶったホットエンドをばらしたところです。(シールテープは後から巻いたものでもともとは巻かれていませんでした)。

問題はいくつかあり、

1. 先端のアルミ部品とPEEK樹脂の部材の間の接続のところから、溶けた樹脂が漏れてくる。

これは特にABSを使ってhotend の温度を230℃にしているときになりやすいです。たぶん、このJ-headのつくりが、内部に挿入されいるPTFE管と差し込んでいるアルミのネジとの間がシールされるような構造になっていないのだと思います。また、アルミのネジの部分が樹脂が溶けるほど温度が上がってしまうのも問題の原因でしょう。

この問題は、アルミのネジにシールテープを巻くことで漏れを防げないかな?と思っています。

2. フィラメントが楽にアルミの溶かす部分まで差し込めず引っかかってしまう。

これはPTFE管に開いている2mmの孔とアルミネジ部分にあけられた2mmの孔の心がずれているためつなぎ目で段差ができていて、フィラメントが引っかかってしまうようです。加工精度があまりよくないのですね。

これは、アルミのネジをPEEK材にねじ込むときにPTFE管の中心との関係をフィラメントを差し込みながらチェックして、芯を出した状態に組み立てることにしました。

3. 溶けた樹脂が先端部品にまとわりつきやすい。

これは、まあ、しょうがないのかもしれませんが、修理に際して、テフロンコーティングをしてみることにしました。

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monotaroで売ってる低温焼き付け可能なフッ素コーティング剤。

ノズル部分にスプレーして乾かした後オーブンで220℃程度にして25分程度ベーキングしてみました。

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パンを焼いたりしているオーブンでフッ素加工は嫌なので、実験室用にアイリスオーヤマのオーブンを購入。。。

直火だとテフロンの耐熱を超えちゃうとやだなと思ったので、ホイル焼きにしてみました。

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ベーキング完了。汚れの除去が十分じゃなかったかも。

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シールテープを巻いて

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PEEK部材にねじ込んで

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ヒーターとサーミスターをもとに戻して、カプトンテープを巻いて修理完了?

実は、ホットエンドがない状態ではプリントできないので、ほとんど同じ内容のJ-head ホットエンド(これも模造品)をサインスマートから買って付け直しているので、このなおしたホットエンドはまだ試していません。サインスマートから買ったホットエンドも全く同じ症状を示しているので、こちらもそのうち詰まって射出できなくなりそう。

そうこうしているうちに、ホットエンド詰まり不安症を発症して、いろいろなホットエンドを買いあさってしまいました。

これだけ中華で苦しんでいるのになぜかまた中華の謎ホットエンドを購入(ビョーキだ。。。)。

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E3DホットエンドとJ-headの合いの子みたいな謎の中華ホットエンド。2個セットで40ドル弱の安さ。

中華三昧じゃあ、ダメだ。男たるもの、いいものも知っておかなければということで、エゲレス製のE3Dのホットエンドも買いました。こちらは、これまで買った中華のホットエンドを全部合わせてもお釣りが来そうなほど高価です。きっと、素晴らしいに違いない。。。

今のホットエンドがまた詰まったら順番に試してみようと思います。配線やり直すのがめんどくさいので。。。

卓上フライス盤(X-1系)のCNC化(2)

週末しか作業ができませんが、暇を見つけてはゆっくりとCNC化の続きを進めています。

今日は、ステッピングモーター側のプーリーに止めネジの加工をして1軸(X軸)分を組んでテストしてみました。

この間3Dプリンターで印刷したステッピングモーターのホルダーは、設計に多々問題があったので多少改良してまたPLA樹脂で印刷しなおしました。

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タイミングベルトをつけるのが厄介かなと思っていましたが、モーター側のプーリーにはフランジをつけないようにしたところ、比較的容易に組み付けできました。

手持ちのCNCルーター用のステッピングモーターコントローラーにモータを接続してテストしてみます。接続は手抜きでワニ口クリップとビニールテープで。

結果結構好調。たぶんY軸もこの方式でよさそう。

最小ステップ1.25μm 程度で動かすことはできるようです。ただ、バックラッシが大きい。測定してみたところ、0.16mm程度もあります。CNCのプログラムで補正ができるようなのですが、素直にアンチバックラッシナットを用意すべきか?

また、エンドストップのスイッチが必要だなあと思いました。端っこに行くとモーターのマウントとテーブルが干渉して止まるのですが、モーター軸が過負荷で滑っているのは精神衛生上よくないです。

Z軸の方式も考え始めなきゃと思っているところ。

自動切削までは遠いなあ。。。

卓上フライス盤(X-1系)のCNC化(1)

この夏、卓上フライス盤を手に入れました。いわゆる一番小さい中華のX-1系のフライス盤で、旋盤市場 というところで取り扱っているものを購入してみました。

普段CNCのルーターを使っていると、やっぱり、手動でフライス、ちまちま削るのはめんどくさい感じで、購入して一度も切削しないうちにCNC化をしたくなりました。

旋盤市場では、CNC化したものも扱っていて 最初からこちらを買えばよかったような気がしますが、CNC版は結構高価なのと、中華なCNCルーターを使っているので、コントローラーやら、いろいろと共有部品も持っているし、まあ、いろいろ余計なことで悩んで遊んでみたかったので、素のフライス盤を導入して、CNC化することにしました。

WebでみなさんどのようにCNC化をされているかリサーチしたのですが、決定版がそのままWebで情報公開されているわけではないようなので、みなさんそれぞれ苦労して作られているようですね。

CNCコンバージョンキットもいろいろなところから出ていますが、どうも構造的なところなど、ピンと来ないものが多いので、自分で設計してみることにしました。

その途中経過。

今のところ、フライス盤についてきたものはテーブル、台形ネジの送り機構などできるだけそのまま活かすことにしたいと思っており、下記のような方針で考えています。

・元からついてきた台形ネジのナット、シャフトなどそのまま使い、軸受はアルミで作り、スラストベアリングで挟んでスムーズにネジを回せるようにする。

・テーブル駆動モーターはステッピングモーターを使い、ネジには、タイミングベルト・プーリーで力を伝達する。

・ステッピングモーターは手動で一応動かせるように、両側シャフトのものを調達して、ハンドルを作ってつける(かも)。

DROもついていないので、手パルスが使えればハンドルついていなくてもそれでいい感じもします)。

・Z軸のバランスを取る工夫が必要そう(ガススプリングを使う例多し)だが、とりあえずはカウンターウェイトで安価に何とかできないかなと思っているところ。

・一通りXYZ軸をCNC化したら、スピンドルを200W程度のACサーボモーターで駆動するように変更したい。ギア割れのトラブルなど相当報告されているので、これは最終的には替えないとだめかな?

まあ、作っていくなかで、「こりゃだめだ」となってかなり変更する可能性がありますが、とりあえず当初方針ということで。

シャフトを受ける軸受とモーターをマウントする台座を10mm 厚と5mm厚のアルミ板で製作することにします。

アルミ板は、これまで金ノコでヒーこら切断していましたが、とても10mm厚のものを切断できる気がしませんでしたので、今回ジグソーにアルミ用ブレードをつけて切断してみましたら、結構簡単にきれいに切断できました。ブレードには少しミシン油を塗ったらかなりスムーズにできました。

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軸受の穴あけはシャフトが8mm 径なので、この径+α程度にきれいに開けたいのと、スラストベアリングの受けのポケット加工がしたかったので、ここは、CNCルーターでやってみました。

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今、CNCルーターは、linuxcnc をコントローラーにして使っていますので、linuxcncのページで紹介されている、ポケット加工を行うためのpythonスクリプトを使って、ポケット加工のためのGコードを生成させました。

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ワークの位置合わせは、中華の安物手パルスジェネレーターを買ってlinuxcncに接続しましたので、(参考) これを使って動かしていますが、超楽ちんです。もうこれなしには戻れません!

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ポケット加工の他の穴あけは、これから改造される卓上フライス盤を使って行いました。

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調達したモーター(Aliexpressで中華ステッピングモーターの安いのを購入)とアルミプレート。それから、モーターの台座は、CNCルーターの台座が樹脂でできているため、樹脂でいいんじゃないかなと思い、せっかく3Dプリンターがあるので、3Dプリンターで出力したもので使い物になるか試してみようと思っています。

白いのがPLAで出力したもの、青いのがABS樹脂ですが、ABS樹脂のは、プリント中に反りがでてNGでしたが、もったいないので、反ったところをフライスして薄くしてみたところ何とか使えそうな感じにはなりました。

どちらも100% fill で造形したこともあり、かなり丈夫な感じにはできていますが、どうでしょうか?

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試しに仮組したところの写真を2枚張っておきます。

スラストベアリングで挟み込んだ軸受はパッと見良好で、これまでよりずいぶん軽やかに回せるようになりましたのでOKそうですが、3Dプリントした部品のほうは、組み付けの方法などを十分考察しきらずに、データを作ってプリントしてしまったので、いろいろと難があり、このままではダメな感じです。見直しが相当に必要で、とりあえずアルミのプレートはそのまま使いたいところですが、プリント部品はプリントし直しになりそう。まあ、プリント部品の造形精度や強度の確認はできましたので、無駄にはならないとは思います。

続く

大山・伊豆大島・富士山をつくる

3Dプリンター作ってから、いろいろ便利に使っているか?というと、そうでもないです。

部品を設計してものを作るのにはエネルギーが要るんですが、最近ちょっと疲れ気味なのか、ものを作るエネルギーがスパークするところまでいかない感じです。

3Dプリンターは、ネットにモノのデータがたくさん「落ちていて」それをいろいろプリントするのは楽しいのですが、それはそれで、単に人が作ったものを「消費」する感じになっちゃいますね。

簡単にデータをアレンジしてオリジナルにすればいいのですが、それもやはりエネルギーが必要。

ということで、今のところそんな感じなのです。

道具を使って何かを生産するというより、むしろいろいろな道具を手にする方が楽しくて、非生産的な感じに陥ってしまっています。。。。

とはいえ、この週末は、少しでも創造的になろう、と思い、この夏に購入だけしていた卓上フライス盤をCNC化するべく部品を加工したり、家庭菜園の種まきをしたり、子供と一緒に3Dプリンターでいろいろなものを印刷したりしていました。

その一つを、ここで紹介します。

「身近な山をいろいろ3Dプリントして比べて見る」

国土地理院のサイトで、地形図を3Dデータでダウンロードできるサービスがあるのをご存知の方もあるとおもいます。

ダウンロードできるファイルフォーマットの一つに、3Dプリンターで印刷するのに広く使われているSTLフォーマットがあり、これを利用して、山のデータを3Dプリンターで印刷することができます。

今回、わが家からも見える「大山」と火山島である「伊豆大島」と日本一の「富士山」をプリントしてみました。

大きさはダウンロードデータを1/2に縮小して7.5cm角程度で、3種類の山のデータは縮尺を同じに揃えました。高さも水平方向と同じ縮尺にしています。

 

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印刷中。上は、ABSフィラメントの黒色で印刷しているところです。

ここで3Dプリンターの話。

3DプリンターでABS樹脂を使ってプリントしている方は悩まれていることと思いますが、ABS樹脂でプリントすると、樹脂が冷えた時の収縮の影響で、プリントがベッドから反ってはがれてしまったりすることが多く、難しいです。

いろいろと工夫をしているつもりなのですが、なかなかうまくできていません。

Rostock mini pro にヒーテッドベッドを取り付け 、約110℃に加熱してプリントしています。ベッドには、耐熱ガラスを置き、ガラスにはシワなしPit を塗り、樹脂がしっかりと張り付くようにしてみましたが、やっぱり隅っこが反りかえってしまいました。あとは、Brimをつける とか、プリンターの周囲の空気の温度を少し高めにするとかやるしかないかな。Brim をつけてもBrim と本体の間が外れてしまうぐらい反り返りの力が強いこともデータの種類によってはあり、大変な感じです。

ABS樹脂自体は、プリントした後やすりがけもできますし、ノズルに詰まることも少なめでやりやすいんですが、寸法安定性に難ありですねえ。

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さて、出来上がりはこんな感じ。

手前が伊豆大島。黒いのが富士山。奥が大山です。

こうやって同じ縮尺で複数の山をプリントしながら眺めてみると意外に面白かったです。

たとえば、伊豆大島が丸くないのは南東-北西に噴火口が点在しているからというのはよく知られている話ですが、富士山もプリントしながら見てみると、等高線がひしゃげているのが印象的です。決して対称的な山じゃないんですねえ。。。そして、富士山、伊豆大島は、火山ですが、大山は、そうではないので、山の形やなだらかさがずいぶん違います。大山に限らず後ろの丹沢の山々の険しさ加減が印象的。

伊豆大島は海底の地形も含めてプリントしてみたいところですが、地理院のサイトでは海のデータが取れないので残念なところ。

近況

コメントをいただいて気が付いたんですがかなーり長い間投稿をしていませんでした。

ちょっと仕事が立て込んでいたこともあり、3Dプリンターのこととかその他何も家のことをやっていなかったわけではないのですが、成果が見える形でなかなか出ていなかったので、仕事もひと段落ついていないし、落ち着いてからと思っていたらずいぶん時間が経ってしまいました。

というわけで、現在取り組み中のことの近況だけ。

1.3Dプリンター

こちらは、安定稼働はしていますが、ABSプリントをやる前にRAMPS1.4の基板をフレームにちゃんと取り付けて配線もきれいにしよう、と思ったところで歩みが止まっています。最近は、安いRAMPS用LCD付きコントローラーを買ったので、GコードをPCで生成したら、SDメモリーに書き込み、SDメモリから直接読みだしてプリントという手順を取ることが多いです。こちらの方が、特に複雑なGコードになった時のプリント安定度が高いです(複雑なGコードだとなぜかプリント途中で止まってしまうことがあります)。

2.CNCルーター

こちらは基板づくりに主に活躍してもらっていましたが、ある時から突然Z軸が逆に動き出したりおかしな動きをするようになってしまっていました。PlanetCNCのコントローラーがおかしな動きをするということがわかって、どうしようかなと思っていたのですが、このコントローラーは買い替えるとしてもそれなりの値段がするということで、コントローラーをlinuxcncに変更をしました。

新しい環境に切り替えて今はそれなりに動くようになってはいるのですが、デスクトップPCを久しぶりに作ったり、作ったPCがうまく動作しなかったり、linuxcncの使い方がよくわからず苦労したりと、素直にplanetcncのコントローラーを買い替えた方が安上がりだったような気が・・・。かなり迷走していますが、中華な安物「手パ」を取り付けたりそれなりに拡張しながら楽しんでいます。

3. 新規工作機械の導入。

完全にこれは暴走ですが、卓上旋盤卓上フライス盤をこれまた安物買いのなんとやらで導入しているところです。これらの工作機械を倉庫の中に設置するために、工作台を作ったり、倉庫の電気配線をしたり、倉庫内のレイアウトを変更(模様替え)といろいろやって実家に帰省もしたり、帰省のついでに家族旅行もしてみたりしていたらもう夏も終わりだ。。。

フライスの方は、まだ一回も切削をしていないのに、CNC化したくなり、いじくっているところです。

4.自動水やりシステムの製作

昨年夏に帰省して、帰ってきたら庭木がぐったりとしていたので、反省して、今回の帰省では、自動水やりシステムを作って仕掛けてから帰省してみました。VPNで家のLANに接続し、ソレノイドバルブをArduinoで制御して水道の水を庭に撒けるようにしただけですが、基板には一応地温や地中水分量の測定をできるようにしようと思って設計をしてありますが、測定のソフトの作りこみまで帰省前に終わらせられなかったのでまだ中途半端品です。帰省出発の1時間前に現場初テストというひどいものでしたが、一応帰省中自動で水やりをしてくれていたようです。よかった。

とはいえ、帰省中水道出しっぱなしの恐怖で気が気ではありませんでしたので、このままではダメっぽい。

5.太陽熱温水システム修理

突然お湯が沸かなくなったので、調べてみたら安さに負けて購入して使っていた中華なバルブが使用1年でリークするようになって、温水が循環しなくなってました。やはり信頼性の低い部品をクリティカルな部分に使っちゃだめだな。ということで、今日これはもうちょっとまともそうな部品を使って直したばかりです。

こんなところで、明日からまた仕事に頑張らなければ。